20211207sugibayasi

明治時代の国土地理院の地図によれば、山全体は松林が多かったようです。その後平らな場所は畑として利用されて、それ以外は雑木林だったようです。雑木というのは、有用木(建材用の杉,ヒノキ)以外の木のことをいいますが、昔の暮らしにとって大事な資源であり、里山としてとても大事な木々でした。

とりわけクヌギやコナラ、クワなどの燃料となる木々は生活を支える大事なものでした。これらは、薪にするため数年で伐採更新されていましたが、それが石油に変わられると放置されて巨木化し、時には台風で根返りして道を塞いだりします。

峯山の散策路には、これらの巨木に樹名板を立ててありますのでご覧ください。驚くほどの大きさになっています。

 

巨木を2,3ご紹介しますと、殿入り口ルートの中ほどにあるスダジイ、三叉路から八雲神社ルートを少し下った場所にあるタブノキ、またこのすぐ先には推定樹齢300年の山桜があります。山桜は、富士見台に樹齢280年のものが、峯山山頂には樹齢210年のオロチ桜とすぐ下に樹齢270年のものがあります。

 

秋になるとドングリ拾いが楽しいですが、クヌギ、コナラの実の他シイ、カシなども沢山実を落とします。食べて美味しいのはマテバシイですが、研究所のほうにはありますが峯山には少ないので、いま実生苗を育てています。

 

アズマネザサ(篠竹)や侵食した竹を皆伐しながら山の整備をしていると、イヌビワの木が多いことに気付きました。

当初は、邪魔だとばかりに伐採していたのですが、上皇陛下がたいへんお好きな木だということが分かり見方を変えました。

秋になると真っ黒に熟する実は、桑の実と共に山の恵みを与えてくれます。晩秋には黄葉が山に彩りを添えます。イヌビワはイチジク科なので、その実はイチジク風の食感です。

 

峯山には不思議なことに紅葉する木があまりありません。アカシデくらいのものでしょうか。そこで、雑木林への回帰整備の一環として散策路沿いにモミジを移植していますが、この幼木をちょん切る不心得ものがいるので困っています。

 

常緑樹としては、タブ、カシ、クスが多いですが、これらの木々は山頂付近には少なく山麓に多く見られます。この辺りの地名を常盤というのは、もともと常盤木が多かったことに由来していますが、畑として利用するために常盤木は伐採されてきたので今の様な分布になっていると思われます。

 

杉木立も所どころにあります。山全体が地元の共有林であったころには、ここから建築用材として切り出していたのでしょう。

殿入り口ルートの先にかなりの広さの杉林があります。ここも荒れ果てていましたが、倒木を処理して林床のヤブミョウガを片付けると子どもたちが走り回る恰好の遊び場になりました。

風通しがよいので、私たちも夏場の休憩場所として活用しています。荷物置き場として竹製の置台を何台か置いてありますが、この上に寝転ぶとまことに快適で避暑地気分を味わえます。散策の折にでもお試し下さい。